相続税申告書の作成は、正確性と適切な手続きが求められる重要な作業です。
相続税申告を税理士に依頼すると非常に高額な報酬がかかってしまうため、自分で手続をしようと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、相続人ご自身で相続税申告書を作成できる場合について、紹介していきます。
自分で相続税申告書を作成できるか?
相続税申告書は複雑な評価方法があること、多額の税額が発生すること、正確な記入が求められるものことから、自力での作成が難しいと言われます。
ただし、亡くなった方が所有する財産の種類によっては、自分で調べながら相続税申告書を作成しても問題ない場合があります。
具体的に以下の場合には、自力で作成しても何とかなる可能性があります。
財産の種類が少ない
預貯金、自動車、家屋のみの場合などは自分で作成しても税理士が作成した申告書と比較して大きな差はでないはずです。
多少の記載の仕方に違いはあっても、税額差が無ければ大きな問題にはなりませんので、このような場合には、自力で作成にチャレンジしてみてもいいかもしれません。
名義財産がないことが明らか
名義はお子さんの預金や保険だが、実質的にその負担をしているのは亡くなった方である財産は、相続財産に含めることになります。
このような判断は税理士に任せた方がよいものになりますが、名義財産に該当するものがないと断言できる場合には、税理士に依頼する必要性は低下します。
土地がない又は評価が簡単な土地のみ
土地の評価は、相続税申告書の作成においてとても重要な部分になります。
歪な形をした土地、傾斜がある土地など、評価の方法によっては税額が変わることになります。これらの土地を亡くなった方が所有している場合には、基本的には相続税専門の税理士に依頼すべきです。
税理士に依頼すると歪な形の土地は、想定整形地を作成し、かげ地割合を算定するなどをして評価額を大きく減額させることができます。
逆に、綺麗な四角形をした土地で測量図を取得できる場合や国税庁のホームページを参照して倍率地域にある土地などは、自分で評価を行っても大きな差は出ない可能性が高いと思います。またこれらの土地は、思っているよりも評価は簡単ですので、税理士に依頼しなくても自力で何とかなります。
ちなみに、地積規模の大きな土地、借地権、小規模宅地等の特例など評価上の注意点はいくつかありますが、これらも調べれば自力で対応できるはずです。
非上場株式がない
上場株式については自力で評価できますが、非上場株式がある場合には特殊な評価が必要になるので、非上場株式がある場合には自力で計算しない方が良いかもしれません。
保険や年金
生命保険については、契約者及び被保険者が被相続人で、受取人が相続人のケースの組み合わは法定相続人×500万円の非課税枠があります。
生命保険についてはシンプルですが、間違えると数字が大きく動くものなので注意が必要になります。間違えても税務署は指摘してくれません。
また、変額年金や終身年金など、多数の保険や年金が相続財産にある場合には、間違いが発生しやすくなるため税理士に任せた方が良いと思います。
相続税申告を自分でするための準備
相続税申告書作成の書籍を購入しよう
相続税申告書作成の書籍を購入しておきましょう。
一冊あるだけで全体のイメージが付きやすくなり、作成の仕方が理解できるようになります。
相続税の課税対象や控除、評価方法など、必要な情報を把握しておくことが重要です。
相続に関連する書類の収集
相続に関連する書類を収集しましょう。相続人の戸籍謄本、相続財産の評価書類、預貯金の残高証明書、保険証券、車検証、課税明細書、不動産の登記簿謄本や測量図など、必要な書類を確保し整理しておきます。
資料収集や法定相続情報一覧図の作成のみ行政書士に依頼するなど、スポット的に専門家に任せると非常に楽になります。
国税庁のサイトから申告書を印刷しよう
相続税申告書の作成には、税務申告ソフトを利用すると楽ですが、値段が高いため、国税庁のウェブサイトから入手できる申告書用紙を活用しましょう。
国税庁のサイトから記載例を印刷しておこう
国税庁のサイトでは、相続税申告書の記載例や評価明細書の記載例がPDF形式で掲載されています。非常に参考になるものなので、自力で作成する場合には、これらを印刷して参考にしていきましょう。
■国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/sozoku-shinkokukisairei30.pdf
相談できる場所を用意しておこう
相続税申告書を自力で作成する場合には、最初は必ず迷う部分が出るはずです。
その際に、相談できる相手を確保しておくことが大切です。
基本的には、税務署の窓口、国税局の電話相談、税理士ドットコムのみんなの税務相談サイトが役に立ちます。
どこも親切に回答を導いてくれます。
税額が発生しそうな場合は税理士に任せよう
相続税申告は複雑な手続きであり、間違った申告は重大な影響を及ぼす可能性があります。
相続税は税額が多額になることがあるので、税務調査が入る確率も高いです。
専門的な知識や経験がない場合は、税理士に相談することをおすすめします。
正確な申告を行い、円滑な手続きを進めるためにも、専門家のアドバイスやサポートを受けることは重要です。
特に、税額が発生し税理士が付いていない場合には、税務署側のチェックも厳しいものになるので、基本的には相続税専門の税理士に依頼する方がオススメです。
税理士ドットコムから無料で相続税専門の税理士を探そう
多額の税額が発生する場合などは、基本的に相続税専門の税理士に依頼することが必須ですが、相続税専門は税理士の中でも比較的特殊な専門分野になるので、近場で信頼できる相続税専門税理士を探すことは苦労します。
その上で、実績のある税理士で、かつ、料金も手ごろな税理士を探すには大変なので、税理士ドットコムを使うことをお勧めしています。
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