海事代理士のなり方と難易度、年収

海事代理士とは、国土交通省が管轄する国家資格で、職務上請求ができる8士業の一つです。

主に、船舶の登記や登録、船舶免許の手続き、船員労務手続や各種許認可を独占業務としています。

その仕事の内容から、司法書士・行政書士・社労士の海版と言われています。

具体的に紹介していきましょう。

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海事代理士のなり方

海事代理士になるには、国土交通省の海事代理士試験に突破する必要があります。

海事代理士試験は、一次試験である筆記試験と二次試験の口述試験からなります。

一次試験(筆記試験)は憲法・民法・海商法と各種海事法令の合計20科目からなるボリュームのある試験です。

二次試験(口述試験)は、船員法・船舶職員及び小型船舶操縦者法・船舶法・船舶安全法の4科目です。

一次試験は正答率60%以上の正答で合格となりますが、合格者の平均正答率が60%を上回った場合には、平均正答率以上の得点で合格です。

最終合格率は、例年30%~40%程度となります。

海事代理士の勉強方法

筆記試験対策

海事代理士試験は受験者数が例年200名程度と非常に少なく、予備校や参考書もあまりありません。

筆記試験は、海事六法の条文の読み込みと過去問を解くことが主な勉強方法となります。

市販の受験対策本については、過去問や合格体験記が掲載されている海事代理士合格マニュアルが受験生に有名な書籍となります。

なお、国土交通省のホームページからも数年分の過去問をダウンロードすることも可能で、これを利用して受験勉強をすることも有効です。

条文については、e-govなどネットから印刷するか、海事六法を購入して入手することができます。

ほとんどの受験生は、上記の合格マニュアルと、海事六法の2冊を使用して受験勉強をする方が多いです。

基本的には、これらの過去問を解き、その箇所の条文をチェックすることを繰り返す学習スタイルになります。

過去6~7年分くらいの過去問をスラスラ解けるようになると、一次試験でも6割近い点数を得点できるようになります。

口述対策

口述についても、条文暗記と口述試験の過去問を繰り返し勉強します。

本番は他の受験者がいるためやや騒がしく、試験官の声が聞こえにくい、試験官が早口だったなど、環境の悪い中で戦う試験でもあります。

さらに、1科目(約5問)につき3分の時間制限があるため、即答できるくらいまで過去問暗記の精度を上げる必要があります。時間が余った場合は、再度気になった問題を聞くことができます。

基本的に試験官が助け舟を出してくれることはありませんし、答えられないと落ちる試験です。

ただし、口述試験は過去問からの出題が半分ほどあることと、部分点があることから過去問をしっかり暗記すると現在は受かりやすい試験となっています。

合格率は年度によって差があり、例年6割~9割の合格率となります。

海事代理士の難易度

他の士業と比較すると合格率は高めです。

ただ、かなりニッチな国家資格であるため、海事代理士を目がけて受験する層は船舶関連企業に勤務する社員や司法書士・行政書士・社労士などの有資格者がボリューム層と言われています。

そのため、合格率が高いからと言って簡単な資格というわけではありません。

ただ、海事代理士試験は問題の問われ方は素直で、奇問はありません。

海事法令の知識があるかどうかを問われるシンプルな試験で、法的センスを求められる試験にはなっていません。

素直に条文知識を問われるため、条文、過去問を暗記すれば十分に合格することが可能です。

海事代理士の年収

海事代理士に関しては、情報がほとんど出回っていません。

政府による統計データや日本海事代理士会による調査資料もないため、あくまで噂レベルでの情報しかありません。

海事代理士として本気で開業している人数も日本全国でおそらく2~300名以下であると考えられます。噂の出どころもおそらく数名の意見でしかなく、サンプルは非常に少ないです。

ただ、ニッチな市場でもあるため市場原理が働きにくく、海事分野に限定されますが、独占業務の幅も広いことから一度顧客を獲得すると連鎖的に受任しやすいだろうと思われます。

また、新規開業をしたばかりの海事代理士は軌道に乗せるまで一苦労すると言われている反面、老舗の海事事務所は1,000万円以上という話は聞きます。

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