大使館では、様々な役職の職員が働いています。
係長や課長などのメジャーな役職と違って分かりにくいと思いますので、詳細を紹介していきます。
下の図は、大使館の主要な役職を紹介した図で、下へ行くほど地位が上がるように掲載しています。
●大使館職員の役職概要
副理事官 Assistant Attaché
若手のノンキャリアの職員。在外公館の会計や通信などを行う。
国家公務員一般職(高卒)のノンキャリアは、派遣が早ければ副理事官の役職からスタートすることがあります。現在はあまり使われていない役職と言われています。
理事官 Attaché
大使館(又は総領事館)の庶務や領事事務を行う職員。
国家公務員一般職(高卒)から外務省に入省し、在外公館に派遣されると三等理事官の役職から勤務をスタートすることが多いです。
一等理事官から三等理事官まであり、外務省が公開する英語訳は全てAttachéで統一されています。対外的には同じAttachéのためか、現在では慣例的に三等理事官の役職のみ使われています。
三等理事官として勤務している職員の大半は、国家公務員一般職(高卒)から採用されたノンキャリアです。
外務専門職から採用された者も三等理事官の役職からスタートすることになりますが、数年後にはすぐに三等書記官へ昇進していきます。
三等書記官 Third Secretary
初級クラスの外交官。
外交官として、儀典やレセプション、イベントなどの企画や調整など、配属によって様々な外交業務を担当します。
大使館は少数精鋭の組織であることが多いため、若手の三等書記官であっても、日本国を代表して相手国と交渉を行います。
キャリアの場合は三等書記官からスタートしていきます。
二等書記官 Second Secretary
外務省の係長級に相当するポストです。中堅の外交官。
主に、若手の外務官僚や中堅の外務専門職が中心を占めています。
そのほか、他の省庁から係長級の職員が大使館に出向してきて二等書記官として勤務していることもあります。
配属される部署によって業務内容は異なりますが、中心となるのは交渉や調整、情報収集です。相手国の人間と会って直接対話を重ねることも多く、人間力が必要となります。
一等書記官 First Secretary
課長補佐級の役職。中堅~ベテランの外交官。
一定の経験を積んだキャリアや40、50代くらいのベテランの外務専門職が一等書記官として勤務しています。他の省庁のキャリアが出向してくることも多々あります。
参事官 Counsellor
本省の課長級に相当するポスト。
キャリアが多いですが、外務専門職からでも参事官に出世することは可能です。
大規模な大使館では部門の長としての役割をこなし、小規模な大使館の場合は参事官ポスト自体がないこともあります。
なお、諸外国の外交官は、参事官の名前で諜報活動を行っていることがあります。
防衛駐在官 Defense Attaché
大使館に出向している幹部自衛官の役職。
アメリカや中国、ロシアなどの一部の大使館等ではこの防衛駐在官が置かれていて、一佐くらいのエリート自衛官が大使館に出向し、自衛官でありながら外交官として、軍事情報の収集や武官との交流を主な任務としています。
防衛駐在官の階級はほとんどが一佐ですが、米国の防衛駐在官に将補が一名おり、アジアや中東を中心に二佐が18名、英国の防衛駐在官のうち一名が三佐となっています(平成31年3月現在 出典元:防衛省)
外交官としての地位は、大体は参事官クラスであることが多く、参事官や一等書記官の名称を併用していることがあります。
公使 Minister
大規模な大使館のナンバー2。以前は、公使がトップの「公使館」が存在していましたが、現在の日本では公使館を設置していません。
大使 Ambassador
外交官の最上位の役職。敬称は閣下。
日本の在外公館は約200ほど存在するので、キャリアとして採用されると、ほとんどが大使(又は総領事)まで出世することができます。
ちなみに、大使の中でも駐米大使は別格のポストで、事務次官よりも上位の役職とされています。
逆に、発展途上国の大使はランクが低い場合もあるので、ノンキャリアであっても地域によっては大使まで出世する場合があります。
在外公館駐在警備対策官
補足として、在外公館駐在警備対策官という役職もあります。
係長級で、大使館や総領事館の警備対策を主な任務としている役職です。
警部クラスの警察官、一尉クラスの自衛官、公安調査官、海上保安官などが大使館に出向し、この役職についています。二等書記官などの名称を使っていることもあります。
以上、大使館に勤務する職員の役職を紹介していきましたが、実際の外務省職員の生の声やリアルな残業時間、有休取得率を知りたい場合は、官庁であっても転職会議で調査することをお勧めします。
組織風土を把握したり、現場の残業時間などが分かるので志望の優先順位を定めるのに役に立ちます。