外交官は在外公館(大使館・総領事館・政府代表部)に勤務をして、経済外交、安全保障、諜報活動、日本人の保護や広報活動などに努めています。
外交官の人事異動はおおむね2~3年ごとにあり、本省と在外公館で異動を繰り返していきます。一般的には在外公館勤務は比較的ゆったりで、本省は忙しいと言われています。
そんな外交官ですが、なり方、学歴、出世などについて紹介していきます。
外交官になる方法
外交官になるには、大きく分けて以下の三つのルートがあります。
⑴国家公務員総合職試験
⑵外務省専門職試験
⑶国家公務員一般職(高卒者試験)
⑴から外務省に入るルートはキャリアです。将来は大使や総領事、外務省の幹部となることが期待されている採用区分です。
⑵は、語学、特定の地域のスペシャリストとなることが期待されていて、外務省や在外公館の中堅幹部候補としての採用区分です。
⑶から外務省に入るルートはノンキャリアです。主に本省や在外公館の会計・庶務業務を中心に関わりますが、外交官として活躍していくことも可能です。
以下は、外務省に採用された者の人数を採用区分ごとにまとめた図です。カッコ内は女性の採用者数。
なお、平成30年度の外務省専門職と一般職試験については、まだデータが公表されていなかったため空欄となっています。
○外務省 試験区分ごとの採用人数
採用年度 | 総合職(院卒・大卒) | 外務省専門職 | 一般職(高卒者) |
平成30年 | 28(9) | ||
平成29年 | 26(7) | 48(26) | 43(24) |
平成28年 | 28(10) | 54(20) | 56(30) |
平成27年 | 26(8) | 50(22) | 62(31) |
平成26年 | 26(5) | 40(16) | 51(25) |
※カッコ内は女性の採用者数
外交官の出世
外交官の出世事情について、大使館勤務を例にとって紹介していきます
以下の図は、参事官までの大まかな昇進の目安です。
本来、語学や地域、在外公館の規模、本人の能力によって出世の度合いは変わるので、参考程度に留めておいてください。
大使館の役職 | キャリア | 外務省専門職 | ノンキャリア |
参事官 | 40代前半 | 50代 | |
一等書記官 | 20代後半 | 40代前半 | 50代 |
二等書記官 | 20代 | 20代後半 | 30代前半 |
三等書記官 | 初任 | 20代 | 20代 |
三等理事官 | 初任 | 初任 |
外交官の学歴
外交官の学歴と聞くと東京大学法学部のイメージが強いですよね。
国家公務員総合職(旧Ⅰ種)試験の過去の資料を見ると、東大以外でも採用実績があります。基本的には難関大卒が多く、学部は法学部や経済学部が多い印象です。
・国家公務員総合職(Ⅰ種)外務省の採用実績
採用年度 | 学歴・学部 | 採用人数 |
平成24年度 | 東京大学法学部 | 6 |
平成24年度 | 京都大学法学部 | 2 |
平成24年度 | 東京大学大学院公共政策教育部 | 2 |
平成24年度 | 一橋大学法学部 | 2 |
平成24年度 | 京都大学大学院公共政策教育部 | 1 |
平成24年度 | 京都大学大学院人間・環境学研究科 | 1 |
平成24年度 | 慶応義塾大学医学部 | 1 |
平成24年度 | 慶応義塾大学経済学部 | 1 |
平成24年度 | 慶応義塾大学総合政策学部 | 1 |
平成24年度 | 慶応義塾大学大学院法学研究科 | 1 |
平成24年度 | 東京大学教養学部 | 1 |
平成24年度 | 東京大学経済学部 | 1 |
平成24年度 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科 | 1 |
平成24年度 | 一橋大学経済学部 | 1 |
平成23年度 | 東京大学公共政策大学院 | 7 |
平成23年度 | 東京大学法学部 | 4 |
平成23年度 | 京都大学法学部 | 2 |
平成23年度 | 早稲田大学政治経済学部 | 2 |
平成23年度 | 慶應義塾大学法学部 | 1 |
平成23年度 | 中央大学法学部 | 1 |
平成23年度 | 東京大学教養学部 | 1 |
平成23年度 | 東北大学法学部 | 1 |
平成23年度 | 一橋大学社会学部 | 1 |
平成23年度 | 早稲田大学法科大学院 | 1 |
平成23年度 | エディンバラ大学人文社会科学研究科法科大学院 | 1 |
平成22年度 | 東京大学公共政策大学院 | 9 |
平成22年度 | 東京大学法学部 | 8 |
平成22年度 | 東京大学教養学部 | 2 |
平成22年度 | 京都大学法学部 | 2 |
平成22年度 | 慶應義塾大学文学部 | 1 |
平成22年度 | 慶應義塾大学法学部 | 1 |
平成22年度 | 筑波大学第三学群国際総合学類 | 1 |
平成22年度 | 一橋大学経済学部 | 1 |
平成22年度 | 一橋大学法学部 | 1 |
平成22年度 | 早稲田大学国際教養学部 | 1 |
平成22年度 | 早稲田大学社会科学部 | 1 |
平成21年度 | 東京大学公共政策大学院 | 6 |
平成21年度 | 東京大学法学部 | 4 |
平成21年度 | 東京大学教養学部 | 3 |
平成21年度 | 東京大学経済学部 | 2 |
平成21年度 | 東京外国語大学外国語学部 | 2 |
平成21年度 | 大阪大学外国語学部 | 1 |
平成21年度 | 大阪大学大学院国際公共政策研究科 | 1 |
平成21年度 | 京都大学総合人間学部 | 1 |
平成21年度 | 京都大学大学院人間・環境学研究科 | 1 |
平成21年度 | 京都大学文学部 | 1 |
平成21年度 | 京都大学法学部 | 1 |
平成21年度 | 慶應義塾大学法学部 | 1 |
平成21年度 | 中央大学大学院法学研究科 | 1 |
平成21年度 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科 | 1 |
平成21年度 | 早稲田大学政治経済学部 | 1 |
平成21年度 | 早稲田大学法学部 | 1 |
以上はキャリアの採用実績です。
外務省専門職等の学歴については公開されている資料がありませんでしたが、外国語大学や国際系の学部、法学部や経済学部が無難な選択だと思います。
ちなみに、外務省への就職・転職を希望している方は、キャリコネから外務省職員の生の声を閲覧してみるのもオススメです。
労働時間や雰囲気などを感じられると思います。