内閣情報調査室、公安警察、防衛省情報本部などと並んで、情報機関の一つである公安調査庁。
破壊活動防止法等に基づいて、国内の宗教団体や右翼系団体を監視し、国外では北朝鮮や中国、国際テロに関する情報収集を行っている機関です。
情報収集によって得た情報は各府省にも提供され、国の政策に影響を与えています。
公安調査庁は法務省の外局で職員数は1,646人。国家公務員一般職からは、例年40名~80名前後が採用されています。
そんな公安調査庁について紹介していきます。
公安調査官の出世
公安調査官になると気になるのはその後のキャリアです。
公安調査庁では、優秀な職員を幹部要員として育成される環境が用意されています。現在でも200名前後が登用されていて、本庁課長、地方の公安調査局の局長、公安調査事務所の所長まで出世している職員がいます。
以下、一般職の出世モデルについて紹介していきます。
22歳 法務事務官
採用後、法務事務官という身分で初任研修を開始します。電気・電子・情報区分から採用された者でも技官とはならず、法務事務官となります。
23歳 公安調査官
採用から6か月後、公安調査官となります。警察手帳に似た黒革の身分証票が交付される。
一般職の場合は、基本的には採用された管区の公安調査局か公安調査事務所に勤務することになります。
調査では、主に協力者(エージェント)を通じて情報を収集しています。そのために、高度な情報分析力の他に、しっかりとした信頼関係を構築する人間力が求められることになるようです。
仕事のスタイルとしては、デスクワークよりも外に出て人と会うことが職務のメインになるので、記者のように外出する形になります。
20代中盤 主任級/主任調査官
一般職の場合は、公安調査局や公安調査事務所での勤務がメインになりますが、本庁や他の省庁、内閣情報調査室や在外公館へ出向するケースもあります。
30歳 係長級/上席調査官
一般職の場合は、採用から8年目頃に係長級の上席調査官に昇進します。係長級までの出世スピードとしては他の省庁と大きな違いはありません。
一般職の活躍場である公安調査局は、調査第一部で国内情報の収集やオウム真理教への立ち入り検査などを中心に行い、調査第二部で国外に関する情報収集にあたっています。
さらにその出先機関である公安調査事務所でも、国内外の情報収集や立ち入り検査にあたっています。
これらから収集された情報は、本庁の調査第一部や調査第二部で分析されることになります。本庁では、主に情報分析を行うことになるので、本庁に異動した場合はデスクワークがメインになります。
30代後半以降 課長補佐級/統括調査官
一般職の場合、人によって差はありますが30代後半以降で課長補佐級に昇進するケースが見らるとのこと。本人の勤務成績が優秀な一握りはさらに昇進していくことも可能です。
公安調査庁の職員になるには
公安調査官になるには、国家公務員一般職試験に合格し、官庁訪問を通じて各地の公安調査局から採用内定をもらう必要があります。(キャリアになりたい場合は、国家総合職試験に合格し、官庁訪問を通じて公安調査庁から内定をもらう)
協力者との関係構築が重要な任務になることから、求められる人物像も多様なタイプが求められています。出身大学や人柄、年齢、性別などにとらわれずに採用を行っている様子です。
公安調査庁の職員は、給与水準の高い公安職俸給表(二)が適用されているので、一般の行政職員よりも給与水準が高めです。
トラブルを未然に防ぐために活動し、時には、大勢の命を救うことにもつながる仕事です。ぜひ、挑戦してみてください。
なお、実際の公安調査庁職員の生の声やリアルな残業時間、有休取得率を知りたい場合は、官庁や独立行政法人であっても転職会議で調査することをお勧めします。
組織風土を把握したり、現場の残業時間などが分かるので志望の優先順位を定めるのに役に立ちます。