財務省の懐刀として知られる国税庁。
その国税庁の主力として、最前線で活動するのが国税専門官です。高度な専門知識を駆使し、スペシャリストとなることが期待されています。
ここでは、国税専門官の昇進モデルについて紹介していきます。
22歳~ 財務事務官
国税専門官試験に合格した後、税務大学校での研修と税務署での勤務を繰り返します。
この期間中の肩書は「財務事務官」となり、名刺にも財務事務官と記載されます。いわば見習い期間と言えます。
財務事務官の英語訳はOfficial, Ministry of Financeとなっています。
以下の期間を財務事務官として過ごすことになる
国税専門官採用後、税務大学校で約3ヶ月間 「専門官基礎研修」を受けたあと、1年間税務署で勤務。
その後、税務大学校地方研修所で1ヶ月間 「専攻税法研修」を受けたのち、2年間税務署で実務経験を積むことになります。
さらに、税務大学校和光校舎で7ヶ月「専科研修」を受けたあと、国税調査官や国税徴収官などに任命されます。
4年目 国税調査官
採用後およそ4年目の26歳ほどで、主任級である国税調査官、国税徴収官、国税査察官のいずれかに任命されます。
※以下、国税調査官に任命された者の昇進モデルを紹介していきます。
35歳 上席国税調査官
11年~15年。35歳くらいで上席国税調査官(又は上席国税徴収官、上席国税査察官)に昇進するのが一般的です。税務署の係長級のポストです。
この「上席」には不祥事が無い限りほぼ全員の昇進が約束されていて、病気で長期療養した職員でさえ、このポストには昇進できると言われています。
このポスト以降、昇進できる者とできない者に分かれていき、昇進できない人は定年まで「上席」で過ごすことになります。
38歳 総括上席国税調査官
人によって違いはありますが、38歳くらいで総括上席国税調査官(又は総括上席国税徴収官、総括上席国税査察官)に昇進するのが目安です。税務署の課長補佐のポストです。
40歳 統括国税調査官
昇進できる者は40歳くらいでこの「統括官」に昇進することができます。
事務官や調査官、上席の3~10名で構成される「部門」の責任者です。課長級のポストです。
42歳 特別国税調査官
統括官より少し上のポストに特別国税調査官があります。通称「特官」と言われています。42歳くらいで昇進するケースも多いようです。
大型の案件や特別な事案に対処する調査官で、1~3名のチームを率います。
なお「特官」は通常、統括官より少し上のポストですが、通称「厚紙特官」と呼ばれる特別国税調査官は副署長級のポストになります。
40代後半~ 総務課長
40代後半以降、総務部門の責任者である総務課長へ昇進することができます。
「統括官」や「特官」のうちの約10%が総務課長になると言われていて、総務課長になれると副署長への昇進はほぼ約束されたものです。
総務課長になった者は、その後国税局の課長級ポストや厚紙特官(副署長級)のポストを回り、副署長へと昇進します。
50人に1人が副署長、100人に一人が署長に昇進できる
昇進する上で、第一の関門は「総括上席」のポストです。各部門に一名ずつ配置されているので、このポストに昇進できない者がでてきます。
第二の関門は「統括官」「特官」から上のポストです。「統括官」「特官」より上は極端にポストが減るので、統括官や特官で定年を迎える人も多いようです。
第三の関門は、副署長や税務署長への昇進です。割合としては、採用された者のうち50人に1人が副署長に、100人に1人が税務署長に昇進できると言われています。
23年以上 税理士
23年以上勤務し、所定の研修を修了した者は、税理士登録をすることができます。
税務署(国税局)を退官した者は、税理士として独立開業をしたり、税理士法人の特別顧問としてその知見を活かすことになります。
税理士として開業すると、企業の財務諸表や申告書を作ったり、納税者の代理人として税務署との折衝を行うことが主な業務になります。
以上、国税専門官について紹介しましたが、国税庁に関する口コミや実際の労働環境については、転職会議から無料で職員の生の声を閲覧できるため、こちらから事前に調べることがおすすめです。
転職会議では以下のように、官庁であっても豊富な口コミの蓄積があります。
税務署や国税局、国税庁の職員は一般の官庁よりも組織風土が異なり、やや体育会系の組織風土と言われることが多いため、事前に組織風土や労働環境をチェックしてから志望先を決めることをお勧めします。
裏ワザ的ですが、官庁訪問の際の面接においても、どのような質問が来るかをこの口コミから知ることができるので、早めに転職会議から質問例をチェックして面接対策をしておくと他の受験者と差をつけることができます。