国家公務員総合職、以前は国家公務員Ⅰ種と呼ばれていた採用区分で、将来は高級官僚として国の中枢を担うことが期待されているキャリア組の職員です。
そのような、幹部候補とされるキャリア組について、同期と横並びで昇進できるのはどのポストまでかを調べてみました。
具体的に見ていきましょう。
キャリア組は本省課長級まで横並びで昇進する
「キャリア組は本省課長級までは横並びに昇進する」と様々な文献で言われています。元キャリア官僚達もこのように述べることが多いので、一般的にはキャリア組は本省課長級まで出世できるという説が優勢です。
平成9年の人事管理等実態調査では課長補佐~課長級
古い資料ですが、人事院の平成9年人事管理等実態調査では、「キャリア組をどのポストまで横並びに昇進させているか」という質問について、22の省庁から回答を得ています。
結果は
係長級 :0省庁
課長補佐級 :8省庁
企画官級 :5省庁
課長級 :6省庁
審議官級 :2省庁
その他 :1省庁
このように、課長補佐から課長級のポストに回答が集中していることが分かります。
定説であった課長級まで横並びで昇進させると答えた省庁よりも、課長補佐級まで横並びで昇進させると答えた省庁のほうが多いことが見て取れます。
また、このアンケートをとった平成9年は中央省庁再編を行う前なので、12省庁に再編された現在では課長級ポストが半減しています。ゆえに、横並びに出世できるポストが、現在ではさらに課長補佐級や企画官級に集中していることが想像できます。
平成24年の年次報告書では企画官級
人事院が発行している年次報告書。
近年の報告書では言及がありませんでしたが、平成24年の年次報告書では国家Ⅰ種の横並びの昇進について、次のように触れています。
本府省課長級以上の管理職員及び幹部職員のポストの数は限られるため、採用後16~17年程度で企画官級に昇任した後の昇任については、同一採用年次の者の間における昇任の時期にばらつきがみられる。
出典:人事院 平成24年 年次報告書
この報告書からは、府省によって差はあるものの企画官級(室長など)までは横並びで昇進し、それ以降の昇進はばらつきがでるとされています。
こちらの資料でも、以前まで定説であった本省課長級まで横並びで昇進する説が崩れかけているのが伺えます。
まとめ
以前まで、キャリア組は課長級まで横並びで出世できるという定説がありましたが、最近ではキャリア優遇を見直そうという動きもあってかそのポストにバラつきが出始めているようです。
実際に文部科学省では、課長補佐又は企画官までは同期で横並びに昇進させ、それ以上昇進できない者は、外部の団体へフェードアウトさせるというケースが増えているようです。